日本には、要介護者が介護を受ける上で適用される介護保険法と呼ばれる法律がある。この法律は2000年度の施行開始以降、数年に一度の割合で改正が行われており、改正がいい方向に進むこともあれば新たな課題が浮き彫りになるケースもある。
その中でも比較的大きなポイントとなっているのが最新の法律で行われた5つの改正の中の一つにある財政支援による地域格差だ。
この保険制度は、介護に掛かる費用の負担を少しでも軽減するために、介護予防の実績に応じて国が交付金を支払う内容となっている。一見すると国にとっても国民にとってもメリットのある取り組みのように思われる。
しかし、地域によって人口や高齢化率が異なっており、格差が生まれてしまっている実情がある。そのため、地域ごとの高齢者の人口に合わせて細かく変えていくことが求められている。
もう一つの大きな課題と言われているのが、利用者の負担の増加だ。元々、利用者が負担する金額は年収によって決められていて、これまでは最高2割までとなっていた。しかし、最新の改正では、所得が多い人は3割負担が条件に追加されており、以前よりも各自の負担が大きくなっている。
介護は一度受け始めると自立した生活に戻るのは難しく、生涯に渡って受け続けなくてはならない。介護の負担が増えれば仕事を辞めて介助に専念しなければならなくなる。こうした介護離職者を増やさないためにも、保険の財源確保が必要となっているのだ。